今日はITの話題を一つ。
電子手形って知っていますか。
1週間くらい前の日経新聞に、ある銀行が電子手形のサービスを開始するという広告が載っていました。
10月11日の日経新聞にも、「ホンダ、JFE商事など主要企業10社が下請け企業への代金支払いに電子手形を使う方向で検討を進めている。」という記事がありました。
いよいよ電子手形の本格的運用開始という感じです。
でも、電子手形というのは、一体なんでしょう。電子手形というのは、電子記録債権法という法律に基づいた新しい決済サービスです。
今まで、紙の手形で行っていた振出、割引、裏書、取立といったことを、パソコンやFAXといった通信機器でやってしまおうというサービスなのです。
たとえば、B社が、A社に対して、1,000万円の機械を販売したとしましょう。代金は、3ヵ月後の支払いです。今までの決済方法は、A社が3ヵ月後を満期とする手形を振り出すとか、A社が3ヵ月後に銀行振込みをするなどです。
電子手形では、A社は、電子債権記録機関に、「B社は、当社に対して、金額1,000万円、支払期限3ヵ月後という債権を持っています。」というデータを記録します。そして、このデータの記録があったことは、B社に通知されます。これだけで、電子債権は発生します。
この電子債権記録機関というのは、法律の定める基準を満たした民間会社であり、現時点では、三菱東京UFJ銀行の100パーセント子会社の日本電子債権機構株式会社(JENCO)しかありません。
B社としては、A社に対する電子債権を、そのまま支払期日まで持っていてもかまいません。持っているといっても、紙の手形ではありませんので、保管とかは必要ありません。
また、B社は、この電子債権を、銀行に割り引いてもらうこともできるし、B社の下請会社に対する支払いのために譲渡(手形で言えば裏書)することもできます。
そして、これらの割引も譲渡も、パソコンやFAXといった通信機器を使って、会社からできるのです。これまでのように、手形を持って銀行に行ったり、取引先に行く必要はないのです。
このように、電子手形は、紙の手形を持ち歩かなくてもよく、割り引いてもらうために銀行に行くなどの手間がかからないという利点がありますが、電子手形の利点はそれだけではありません。
まず、先ほども述べたように、B社は、手形のような保管・管理の手間がかかりません。
また、紙の手形は、物理的に1枚の紙になっていますので、分割して割り引いてもらったり、譲渡したりはできません。ところが、電子手形はデータですから、B社は、500万円はX社に譲渡して、残りの500万円はY社に譲渡するとか、600万円は銀行に割り引いてもらい、残りの400万円はZ社に譲渡するということができるのです。このように、電子手形では、分割譲渡や分割割引ができるのです。
さらに、手形の場合は、B社が期日まで手形を持っていれば、銀行を通じて取立てにまわさなければなりません。もし、期限までにこの取立をしないと、銀行を通じて取り立てることができなくなります。
しかし、電子手形なら、電子債権記録機関が、支払期日にA社から決済資金を回収して、B社の取引銀行に入金してくれます。
これ以外にも、電子手形にはさまざまな利点があり、中小企業の資金繰りの円滑化に役立つと言われています。チャンスがあれば、是非利用してください。
もちろん、当事務所でも、電子手形の利用に関するご相談をお受けしています。
2009年12月4日金曜日
登録:
コメント (Atom)

